遅れてきた生

今こそ幻想がいる

旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで

帰郷はいつも複雑な感情を掻き立てる。言い表しようのない滅びの予感。

 

見知った風景、消えた風景、変わった風景。

誰も自分を覚えていない。自分を覚えている家族。

残された営み。退屈な時間。取り残されている何か。

 

故郷に滅びがまとわりついているのを感じている。原風景の消滅を予感している。

遠い先の終わりを想像させる。

ただただ空虚で、だから私は帰郷が苦手だ。